リトルヘブン余禄
創刊以来、今号で季節がひと巡りしたことになる。
特別に名の知られた地域ではなく、ちょっとした伝手を頼りに訪ねた土地ばかりである。今号もそうだが、読者からの提案を頼りに訪れてみれば、それぞれの読者に深い関わりのある土地は、無名だからこそとも言える、その土地特有の魅力を秘めていることに気付かされる。
人に、その人固有の物語があるように、土地には、その土地特有の物語があって語りかけてくれるのだ。
本紙ではこれからも、人と土地が秘めている物語を掘り起こし、物語の背景となっている自然界の営みを伝えていくことで、人々が自然と交わることの大切さを見つめていきたいと、改めて思った。
今号の取材は、大阪市にお住まいの読者小竹佳衣子さんからの提案で実現した。彼女の母が生まれた土地である。母親思いの小竹さんが掘り起こした栗谷物語なのである。
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